彼岸花

朝夕の風に秋の気配が感じられる頃となりました。さて、先日、会社の駐車場に目をやると、思わず息をのむ光景が広がっておりました。
いつも春には私たちの目を楽しませてくれる桜の木の、その根元です。まるで燃えるような真紅の彼岸花が、一斉に花を咲かせていたのです。

この彼岸花は、会長が植えたものです。最初は数えるほどだった球根が、毎年少しずつ増え、今では見事な群生となって秋の訪れを告げてくれるようになりました。

春に桜が咲き誇り、夏には青々とした葉が木陰を作り、そして秋になると彼岸花が足元を彩る。季節の移ろいとともに姿を変えるこの場所は、まるで会社の縮図のようです。桜の木という目に見える大きな存在だけでなく、その下に根を張り、決まった時期に必ず花を咲かせる彼岸花の球根。普段は意識することのない、土台となる部分の大切さを改めて教えられた気がいたします。

私たちの建設の仕事もまた、決して目立つことのない基礎工事や地盤づくりが、その後の建物の安全性や快適性を何十年にもわたって支え続けます。会長が植えた球根が、時を経て美しい花を咲かせたように、私たちもまた、未来を見据えた誠実な仕事を一つひとつ積み重ねていくことの重要性を、この彼岸花に教わった次第です。

季節の変わり目、皆様におかれましてもどうぞご自愛ください。今後とも変わらぬご愛顧を賜りますよう、お願い申し上げます。

文　古賀佐三